Treatable traits についてですね。

 

Treatable traits について

「Treatable traits(治療可能な形質・特徴)」は、喘息を含む閉塞性気道疾患、特に複雑な疾患の管理のための新しいパラダイムとして提案されており、COPDおよび重症喘息の国際ガイドラインにおいて世界的な支持を得ています1,2)
 

呼吸器疾患は臨床像が多様で、その患者集団はヘテロ(不均一)です。また、一人の患者さんでも複数の「Traits(形質・特徴)」をもつこともあります3)。従来はフェノタイプ(表現型)ごとに治療アプローチを検討していましたが、Treatable traitsは患者さんそれぞれの「Traits(形質・特徴)」を把握し、治療選択の最適化を目指します(図)3)

図 Traits とこれからのアプローチ

Tips(症状確認、問診・検査)

では、具体的にどのような「Traits」となる症状・病態などを問診・検査などで確認し、治療につなげればよいのでしょうか。オーストラリア重症喘息ネットワーク4)では、以下の3項目でTreatable traitsの因子を取り上げています。

【肺】
・気流制限 ・気道可逆性
・末梢気道病変
・好酸球性炎症 ・Type2炎症 ・気道過敏性亢進
・増悪反復 ・咳 ・上気道感染

【肺外】
・鼻炎 ・副鼻腔炎 ・鼻茸 ・アトピー性皮膚炎 ・アレルゲン感作 ・肥満 
・睡眠時無呼吸症候群 ・低体重 ・胃食道逆流症(GERD) ・貧血 ・冠動脈疾患 
・カヘキシア ・全身性炎症 ・空腹時血糖高値 ・糖尿病 ・骨粗鬆症 ・脂質異常症
・精神疾患 ・不安 ・うつ ・アスピリン感受性 ・食物アレルギー

【行動】
・喫煙  ・吸入デバイス多剤併用
・薬剤アドヒアランス不良 ・低経済状況 

Treatable traitsでは、これらの中から治療可能な要素を抽出し、Type2炎症の有無など個々の患者さんに適した治療を適用して予後を改善することを目的としています1,2)

また、日本喘息学会の「喘息診療実践ガイドライン2024」(PGAM2024)5) によると、中用量ICS/LABAでコントロール不十分・不良の場合はTreatable traitsを標的とした治療(Treatable traits approach)を追加します(図)。

図 喘息治療のフローチャート(成⼈)

適切と思われるTreatable traits approachを1つ以上追加してもコントロール不十分・不良な例は専門医に紹介します(一般的に、LAMAやLTRAの追加が多いとされています)。

1)    McDonald VM et al. Eur Respir J 2019; 53: 1802058 
COI: 著者の一人がサノフィ株式会社から個人的に謝礼金を受け取っている。
2)    McDonald VM et al. Med J Aust 2022; 216: 331–333
COI: 著者の一人がサノフィ株式会社から教育活動費を受け取っている。
3)    Agusti A et al. Respir Med 2021; 187; 106572
COI: 著者にサノフィ株式会社からコンサルタント料、講演料等を受け取っているものが含まれる。
4)    Wu WW et al. J Allergy Clin Immunol Pract 2021; 9: 2770-2782
5) 一般社団法人日本喘息学会喘息診療実践ガイドライン作成委員会作成. 喘息診療実践ガイドライン2024; 協和企画: 2024

気管支喘息におけるTreatable traitsについて、概説いたしました。
Treatable traitsは、治療可能な形質・特徴を意味します。
患者さんのもつ臨床的traitsに合わせて治療を追加することが、海外および国内のガイドラインに記されるようになりました。

Treatable traitsの中でも、好酸球数やFeNOといった指標からType2炎症が認められる患者さんでは、デュピクセント®が治療選択肢に挙がります。

詳細は、以下のボタンよりご確認ください。

MAT-JP-2308692-2.0-12/2024

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