喘息におけるRemission(寛解) についてですね。

 

喘息におけるRemission(寛解)

喘息のRemissionは、2010年代まで一定の基準がありませんでした。2020年、治療目標としてのRemissionを検討した海外のコンセンサス・フレームワーク1)が発表されたことを契機に、日本でもRemissionに関する議論が活発になり、日本喘息学会の「喘息診療実践ガイドライン2024」(以下、PGAM2024)には「臨床的寛解」の基準が示されています2)

海外:Remission(寛解)の内容

海外のコンセンサス・フレームワーク1)では、RemissionをClinical remissionとComplete remissionの2つに、さらに治療/非治療下での2つに分類・検討しています(図)。

図 治療目標としての喘息のRemissionに関するコンセンサス・フレームワーク

国内:Remission(寛解)の内容

PGAM20242)では、喘息の管理目標として、まず喘息症状をなくすこと、さらなる目標として臨床的寛解の達成を目指すとされています。
臨床的寛解の基準は、表をご参照ください。臨床的寛解が達成できない場合は治療を再検討すること、現在の寛解状況は将来のリスクと密接に関係するため早期の臨床的寛解基準の達成を目指す必要があることも記されています。

表 「臨床的寛解」の基準

図 「臨床的寛解」の基準とQoLや将来のリスクとの関係

JGL20243)には、寛解と治癒の定義が記載されました。
治療下で、以下の4指標を1年間満たした場合は「臨床的寛解」と判断します。

・経口ステロイド薬の使用がない
・増悪がない
・症状がコントロールされている
・呼吸機能が最適化されている

「臨床的寛解」を達成した場合は、中用量以下へのICS減量などのステップダウンが可能かどうかを検討します。無治療で上記の4指標が達成された場合は「無治療寛解」になります。
治癒は、無治療寛解の達成後に評価します。

図 寛解・治癒の定義

生物学的製剤は、難治性喘息に対して使用を検討します。抗IL-4Rα鎖抗体のデュピクセント®はType2喘息、およびType2low喘息で経口ステロイド薬を連用している場合の治療選択肢です。

図 難治例への対応のための生物学的製剤のフローチャート

⽣物学的製剤による喘息治療が普及した今、Remission(寛解)の議論は今後さらに深まるものと考えられます。

1) Menzies-Gow A et al. J Allergy Clin Immunol 2020; 145: 757-765
2) 一般社団法人日本喘息学会喘息診療実践ガイドライン作成委員会作成. 喘息診療実践ガイドライン2024; 協和企画: 2024 
3) 喘息予防・管理ガイドライン2024WG監修. 「喘息予防・管理ガイドライン2024」作成委員会作成:喘息予防・管理ガイドライン2024, p.14-15, 132, 協和企画, 2024

気管支喘息におけるRemissionについて、概説いたしました。
全身性コルチコステロイド(OCS)の使用や好酸球数・FeNOは、デュピクセント®︎を投与する際に考慮いただきたい項目です。

PGAM2024、JGL2024にも寛解に関する記載があります。判断する際の項目は症状コントロール・増悪・経口ステロイド薬(OCS)・呼吸機能(JGL2024のみ)です。特に、OCSを連用している患者さんに対しては、デュピクセント®が治療選択肢に入ります。

詳細は、以下のボタンよりご確認ください。

MAT-JP-2308692-2.0-12/2024

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