ゴーシェ病とASMDは代表的な臨床所見が共通しているため鑑別診断が推奨されています。確定診断には酵素活性の測定が必要です。簡便で低侵襲な乾燥ろ紙血検査により、早期に診断し、治療を開始できます。

*ASMDは、ニーマン・ピック病(NPD:Niemann-Pick disease)A型及びB型とも呼ばれています。

ゴーシェ病1) 
対象:ゴーシェ病患者1698例(病型が判明している1643例のうち、Ⅰ型が94%、Ⅱ型が1%未満、Ⅲ型が5%)
方法:The Gaucher Registryに登録された患者情報をもとに、ゴーシェ病患者の臨床的特徴を横断調査した。

ASMD2) 
対象:慢性内臓型又は慢性内臓神経型ASMD患者59例
方法:5ヵ国(米国、ブラジル、イタリア、フランス及びドイツ)で登録された患者情報をもとにASMD患者の臨床的特徴を横断調査した。

1)Charrow J, et al.: Arch Intern Med. 2000; 160(18): 2835-2843.
2)McGovern MM, et al.: Pediatrics. 2008; 122(2): e341-e349.

 

監修 :秋田大学大学院医学系研究科 医学専攻 小児科学講座 教授 髙橋 勉 先生

ASMDはライソゾーム病の1つであり、酸性スフィンゴミエリナーゼをコードする遺伝子であるSMPD1の変異により、スフィンゴミエリンがライソゾーム内に蓄積することに起因します。ASMDでは全身にさまざまな症状があらわれますが、代表的な臨床所見として肝脾腫や血小板 減少があげられます。これらの臨床所見はゴーシェ病でも認められるため、肝脾腫や血小板減少などからゴーシェ病を疑った場合は、ASMDも鑑別診断の対象疾患としてください。 ASMDとゴーシェ病はいずれも早期に診断し、適切な治療を開始することで、症状の改善が期待できます。本コンテンツが日常診療のお役に立てば幸いです。

MAT-JP-2400454-1.0-01/2024